滞在型のスローツーリズムで見えてくる
本当の豊かさにふれる場所
能登半島の突端に位置する珠洲市。その北側にあたる大谷地区は、変化に富んだ海岸線が続く風光明媚なところ。海から昇る朝日と海に沈む夕日を眺めることができる、めずらしい場所でもあります。ここでは、地元民と県外の人の交流が盛んに行われるようになっています。
Slow-3
耕し、食べて、 地域に根差す。
耕作放棄地を減らしたい。
棚田を見せてもらいました。林さんは耕作放棄地となっていた田んぼに、昨年からコシヒカリを植えています。黄金色になりつつある稲が、海から吹き抜ける風に揺れています。
「真浦に1年半住んで、いちばん必要だと思ったのは、草刈りロボットですよ。この草ボーボーの土地、実は田んぼと田んぼの間の通路なんですが、つい2週間前にきれいに草刈りしたばっかりなんですから、雑草の勢いは凄まじいです」と林さんは笑います。
貴重な平地を利用して作られた田畑は、ひとたび耕作放棄地となって人の手が入らなくなると、あっという間に雑草がはびこる荒地となり、隣接する田畑を侵食していきます。現在、真浦集落は高齢化が進んで空き家が増え、40棟に対し住民は30世帯ほど。平均年齢は80歳近いのではないかと林さんは話します。
「これだけ空き家があるのに、集落が荒んだ印象になっていませんよね。むしろ明るく美しい景観を保っています。それも、住民の皆さんの日々の野良仕事の賜物なんです。でも、高齢化が進む一方の今の状況では、手が回らなくなるのは時間の問題。この耕作放棄地と空き家の問題もDXで解決の道を探っていきたい」
物語を紡ぐ人~スロツーびと~
現代集落・主宰:林 俊伍さん