滞在型のスローツーリズムで見えてくる
山と雪に閉ざされた
孤高の集落
白山のふもと、標高約500m。手取川と大道谷川に挟まれた段丘上に、白峰の集落はあります。平地が少ないため耕作地はほとんどなく、農業の代わりに養蚕業が盛んに営まれていました。建物は積雪4mを超えることもある豪雪に耐えるため、土蔵造りが基本。養蚕に適した構造になっています。その独特のまちなみが評価され、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。ノスタルジックな雰囲気が漂う白峰をめぐります。
Slow-5
清冽な水湧く、わさびの里

石垣によって段々に整地した緩やかな傾斜地を利用する地沢式栽培のわさび田。年間を通じて冷たい湧水が絶えず流れる。
神秘的な雰囲気が漂うブナ林の奥にわさび田がある。
わさび田で育てた苗を自然の渓流の岩場にも植えて増やす地道な作業を続ける。いまださまざまな方法を試行錯誤中だ。
白山の霊水が
コンコンと。

2年以上かけて育てたわさび。茎に近い頭の方が辛味が強く、先に近くなるほどやさしい風味になっていくという。
わさび田の上方の岩場の隙間から、白山の霊水「御前の雫(ごぜんのしずく)」がコンコンと湧いている。
「お昼ごはんを食べに行きましょう」と、山口さんと車で向かったのは白山の登山口の一つ別当出合。標高1000mほどのところで脇道に逸れ、ブナ林のトンネルを抜けて行きます。たどり着いたのは、わさび田です。
ここは、白山の山頂、御前峰に積もった万年雪が解けて大地にしみ込み、長い年月をかけて湧き出す場所です。「御前の雫」と呼ばれるその湧水は清洌そのもの。沢の水をすくって飲んでみると、まろやかで、すーーっとカラダにしみわたっていくような心地よさを感じます。
わさび田では、湧水が流れる斜面に石を敷き詰めて栽培する渓流式と、緩やかな傾斜地に砂礫を敷き詰めて栽培する地沢式の2種類の方法でわさびを栽培しています。いずれもきれいな水を大量に要するので、ここは格好の栽培地です。わさびが育つには2年から3年かかりますが、近年増えている大雨によって被害を受けることも多く、栽培は一筋縄ではいきません。味には影響はないものの黒ずんでしまう墨入病のせいで、市場価値が大きく下がってしまうのも悩みの種だと言います。
お待ちかねの昼ごはんは、なんと流しそうめん。白山の霊水「御前の雫」で流します。しかも、おろしたてのわさびを薬味に入れて……青空の下、白山の恵みをまるごといただくような、最高の贅沢です。
ひんやりとした窪地にさわさわと水の流れる音が響く。不思議と心穏やかになる。
わさび田の一角でペットとして飼っているイワナ。水がいいからだろうか、50cmクラスに育ったものもいる。
わさび田の周りには野生のフキや紫陽花が生い茂り、トンボやチョウチョが飛び交う。
湧水を使う贅沢な流しそうめん。思わず夢中でそうめんを待ち構えてしまうおいしさ。
ミニトマトやキュウリも冷たくおいしい水に浸かると格別な味に。
新鮮なわさびをおろしたてでいただく。爽やかな香りが鼻に抜け、余韻に甘みを感じる。