滞在型のスローツーリズムで見えてくる

森と水の潤いにあふれた
古民家ステイ

白山ろくを流れる瀬波川沿いに、瀬波という小さな集落があります。耕作地があまりない山あいの地で、深い森が間近に迫っています。かつては盛んに行われていた林業と炭焼きは50年ほど前に途絶え、集落は過疎化が進んでいます。瀬波の大自然に囲まれた古民家を改修しながらカフェと宿を営む夫妻を訪ねました。

トップ森と水の潤いにあふれた古民家ステイ滞在記 Slow-2

Slow-2

おなかも心も満たす山の幸

看板メニューのひとつ、カレーライス。ルウから手作り。

大地から生まれる
力強い味わい。

朝穫れの赤かぶの葉っぱはスープに。

「味付けはシンプルに。素材そのものを味わってほしくて」と阿弥子さん

厨房から食欲をそそるスパイシーな香りが漂ってきました。カレーライスをいただきます。今日のカレーには、信道さんが山で採ってきた天然のウドがたっぷり入っています。ウドのさわやかな苦味がアクセントになった奥深い味わいがクセになりそう。
付け合わせのサラダのおいしさにも驚きました。野菜は近隣の農家さんから仕入れる鮮度抜群のもの。レタスらしい苦味と、その奥に甘みがしっかりあって、「あ、こんなにおいしい野菜だったのか」と気付かされます。波佐谷さん夫妻が自宅で放し飼いにしている鶏が産んだ卵も味の濃さが印象的。豊かな自然に育まれた産物が持つ、素材そのものの味をストレートに堪能できるなんとも贅沢なお食事です。

野山で採れる草木で作るハーブティも人気。

カキオドシや桑の葉をブレンドしてくれた一杯に心安らぐ。

家のまわりにあふれる
季節の天然食材。

黒く熟す前の桑の実がなっていた。上品な甘みと酸味。

大切な食材の一つ、オニグルミの木。西洋クルミよりも小さく殻も硬いので扱いづらい。でも風味は抜群だとか。

山椒の実は枝から葉っぱごともぎ取る。

実と葉っぱをより分け、実をさっと湯がいて使う。

「瀬波カフェ&ゲストハウス」は1日1組限定の宿という顔を持っています。夕方にカフェ営業が終わると、広い建物を丸ごと借り切って、自分のおうちのようにのんびり過ごすことができます。
季節に合わせて企画されるさまざまなアクティビティやワークショップも楽しみです。春は山菜を探して森を散策したり、夏はイワナ釣りへ出かけたり。タイミングが合えば、農園で収穫した野菜を調理して味わえます。
おじゃましたこの日は、庭先で鈴なりに実をつけている山椒を採りにいきました。実山椒と葉っぱからは、さわやかな柑橘系の香り漂っています。実だけを集め、きれいに洗ってハチミツ漬けに。実山椒の風味が溶け込んだハチミツを水やソーダで割ると、甘くてスパイシーなジュースになります。
「瀬波のおばあちゃんたちに地域の天然食材について教えてもらっています。目が育ってくると、周辺の自然の中でいろんな食べ物を見つけられるようなってきます。見分け方、下処理の方法などをおばあちゃんから教わらないと、見えているものは“ただの草”。知識があれば、すばらしい食材になります。おばあちゃん世代の暮らしの知恵をしっかり受け継いでいきたいです」と阿弥子さんは話します。自然の中の食材を活用する術は、なくしてはいけない地域の財産なのです。

実山椒はハチミツと瓶詰めして熟成させる。ジュースのシロップのほか、肉の味付けにも使える。

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