ぷっくり肉厚で食感なめらか
旨みたっぷりの原木しいたけ

商品名:のと115
メーカー:奥能登原木しいたけ活性化協議会(全農いしかわ穴水事務所内)

肉厚で風味の強い能登の原木栽培しいたけ「のと115」。

能登のコナラで原木栽培

「のと115」という一風変わった名前のしいたけをご存知でしょうか? 115とは全国各地で栽培されているしいたけ菌種の品番。能登で栽培される115は特に風味と食感がよいと評判で、ブランドしいたけ「のと115」として知られるようになってきました。
しいたけ栽培は大きく菌床栽培と原木栽培に分けられます。菌床栽培とは、おがくずのブロックに菌を植え付けて人工的に養分を与えて育てる人工栽培の方法。一方、原木栽培は自然の木に菌を植え付けて、木が持っている養分だけで育てる自然栽培の方法です。菌床栽培は3〜6カ月のサイクルで一年中収穫できるのに対し、原木栽培は初めの収穫まで2年を要し、収穫は基本的に年に1回だけ。「のと115」は能登に自生するコナラの木を原木に利用して栽培されています。

林の中にほだ木が合唱組みに整然と並べられた田畑さんのしいたけ圃場。

夫妻ふたりの手でおよそ2万本のほだ木を管理している。

原木栽培では、しいたけが木の栄養分をたっぷりと吸って育つ。

「他の品種のしいたけを育てとるけど、やっぱりのと115は味がええね」と明子さん

「収穫時期は朝飯前に始めて日が暮れるまでこの山で仕事してるわね」と信男さん

美味しそうななめこを発見。能登の気候風土はきのこの生育にとても適している。

穴水町で「のと115」をハウス栽培している橋本雄晴さん。

能登の気候風土が育む極上しいたけ

珠洲市の田畠 信男さん・明子さん夫妻は、40年以上しいたけ栽培に取り組んでいるベテラン農家。能登ヒバの林の中で、「のと115」をはじめとするしいたけを露地栽培しています。ずらりと並ぶコナラのほだ木(栽培用に玉切りした原木)は約2万本。太いものだと重さが1本20kgにもなるほだ木は、すべて夫妻が自分で山から伐り出したもの。木の表面の各所にドリルで穴をあけて食菌し、互い違いに並べていきます。雨や風がまんべんなく当たるように、ほだ木をこまめに回転させて管理しています。
「能登は適度に風が抜けて、一年中ほどよい湿気が保たれています。きのこには最高の環境なんですわ」信男さん。露地栽培の「のと115」は11月中旬から雪が積もる12月下旬頃まで集中的に収穫され、雪解け後にもまた少しだけ収穫されます。冬から春にかけて、能登の里山を代表する味覚の一つとなっています。

鏡を使って傘の裏側も入念にチェックしながら育てる。

一つひとつ丹精込めて育てる

穴水町の橋本雄晴さんは、建設関係の会社を定年退職してから、ハウスで「のと115」栽培に取り組んでいます。ほだ木から出てきたしいたけは、500円玉大になったところで一つひとつビニール袋をかけていきます。袋はしいたけに傷が付くのを防ぐと共に、湿度を一定に保ち、適切な生育を促す役目を果たします。
こうして大切に育てられた「のと115」は、肉厚でずっしりとした重量感が特徴です。焼いても縮むことはなく、噛めばジュワッと旨みたっぷりの汁があふれ出てきます。橋本さんのお気に入りの食べ方はしゃぶしゃぶとのこと。「薄切りにしたのと115をさっと出汁にくぐらせて食べるのが最高の食べ方や思いますね。のと115ならではの上品な風味と、なめらかで弾力ある食感を堪能できますよ」と橋本さんは話します。

「のと115は炙っただけでも旨いよ。うちではよくしゃぶしゃぶで食べるね」と橋本さん。

JA全農いしかわの脊戸大樹さんも、のと115しゃぶしゃぶのファン。隠し味に能登のいしるを出汁に入れると絶品とのこと。

JAの敷地内のハウスでも「のと115」を栽培している。「しいたけ栽培は奥が深くて面白いですよ」と脊戸さん。

「のと115」の最高峰「のとてまり」

のと115」の中でも特に大きく形のよいものは、「のとてまり」となります。力強い歯応えと旨みたっぷりの風味を楽しめることから、“山のアワビ”とも称される特秀品です。その厳しい判定基準は、「傘の直径8cm以上」「肉厚3cm以上」「傘の巻き込み1cm以上」「形状が優れていること」の4点。候補となる優れた「のと115」がJAの検査場に持ち込まれ、一つひとつ判定されます。
JA全農いしかわの脊戸大樹さんは、「のとてまり」栽培のむずかしさについて話します。「JAに集まってくるのは一級品ばかりですが、それでものとてまりに認定されるのはそのうちの3割程度。私もJAのハウスでのと115栽培を試していますが、うまくいっている時でものとてまりとなるのは全体の3%にも満たないでしょう。それだけ、極めて貴重なブランドしいたけとなっています」
のと115」は「能登原木乾しいたけ」としても販売されています。水に戻して煮物や炒め物に使うと、料理の質をぐっとあげてくれると人気。戻し汁も風味豊かな出汁として活用できます。ぜひお試しください。

脊戸さんの「能登原木乾しいたけ」のお気に入りの食べ方はビーフン。水で戻したしいたけを細切りにして具材に入れると、一気に風味がアップ。
戻し汁も加えて炒めると、麺も旨みたっぷりに仕上がるそう。