地元産の生乳100%と地域素材でつくる
世界トップクオリティのジェラート
商品名:マルガーの能登ジェラート
メーカー:マルガージェラート
能登発、世界をあっと言わせた
独創的ジェラート
能登町の田園地帯にポツンとたたずむ三角屋根の小屋。ここが世界のコンクールで数々の栄冠を勝ち取ってきたジェラテリア『マルガージェラート』の能登本店です。常時10種類ほどあるジェラートは、定番の「能登プレミアムミルク」をはじめ、日本ジェラートマエストロコンテストで優勝した「能登塩ピスタチオとオレンジバニラのマスカルポーネ」のほか、春は「ふきのとう」、秋は「新米コシヒカリ」など季節のフレーバーなどバラエティ豊か。人気の「能登の塩」をいただいてみます。サラリとした心地よい口どけで、珠洲の天然塩のやさしい塩味と、それに引き立てられたミルクのコクと甘さが口いっぱいに広がります。
店主の柴野大造さんは、ジェラートで最も大切なのはテクスチャー(食感)だと話します。
「口に入った時のやわらかさ、なめらかな口どけ。これがジェラートという食べ物の最大の特長で、いちばん大切にしたいポイントです。次に味。ミルクをはじめ、フルーツや野菜、ナッツ、調味料などあらゆる素材をジェラートにすることができますが、大事なのは、その素材をジェラートで味わう意味がしっかりあること。ジェラートだからこそ感じられる素材本来の風味を大切にしています」
柴野さんの名作の一つとされているのが、イタリアの大会でアジア人初の世界チャンピオンに輝いた時の「パイナップル・セロリ・リンゴのソルベ」。新鮮な野菜と果物のエキスを抽出し、栄養価を丸ごとジェラートに盛り込んでいて、食物繊維が豊富に含まれていることからヘルシーな一品としても人気です。
「盛り込む素材は最大3つまでと決めています。素材ひとつ一つの味を認識するのは、4つ以上になると途端にむずかしくなります。そして、3つの素材がミックスされるのではなく、ひとつ一つ順番に風味が感じられるように、組み立てることがとても重要です」
始まりは、牛乳の美味しさを知ってもらうために
『マルガージェラート』の美味しさのベースとなっているのが、地元産100%の生乳です。柴野さんの生乳へのこだわりは大変なもの。柴野さんは能登町で乳牛の牧場を営む家で生まれ育ち、農業大学で酪農を学びました。家業を継いだものの、自然な美味しさと牛の健康に配慮した牛乳が一般市場では思うように売れません。その苦肉の策として、牛乳のおいしさを知ってもらおうと始めたのが、自家製の生乳を使ったジェラートの製造販売だったのです。初めの3年ほどはジェラートも売れずに苦労したと話します。
「料理学校で学んだことも、どこかの店で修業したこともなく、基礎知識がないまま手探りでジェラート開発を続けていきました。ものになるまで時間はかかりましたが、結果的にそれがよかったですね。既成概念にとらわれることなく、なんでも試してみようと、能登の野菜や海藻など身近な素材をいろいろと使ってみました。自分の中にこうすれば美味しいジェラートになるという法則ができた頃、イタリアのジェラートに関する学術書を読んだら、自分の理論がその本に書かれていることとピタリと合っていたんです。手探りで試行錯誤した末に理論がついてきたんです。そのあたりから、海外で賞を獲れるようになりました。初めに理論を勉強していたら、今のような自由な作風にはなっていなかったかもしれませんね」
柴野さんの実家の牧場は、結局手放すことになってしまいました。現在、『マルガージェラート』で使う生乳は、牧草での飼育を基本とする生産者のものを特別に仕入れています。その牧場のひとつ「山地酪農」を案内してもらいました。「山地酪農」は柴野さんの親類が営む牧場で、柴野さんのお父さん同様に、一般的な穀物を主体にした飼育ではなく、昔ながらの牧草による飼育を守り、牧草づくりも自ら行っています。牛のし尿を回収して堆肥をつくり、牧草地にまいて安全で栄養価の高い牧草を育て、その牧草で牛を飼育する。その循環を大切にしています。
「牧場で牛と一緒に生活していた時、人間は自然に生かされているんだなあとよく感じました。牛乳は栄養バランスが完璧な完全食と言われているのですが、それが牧草からつくれるって不思議ですよね。“太陽の飲み物”ですよ、牛乳は。太陽のエネルギーが大地に降り注ぎ、草を育て、草を喰んだ牛が乳を出してくれる。太陽の飲み物のポテンシャルをいかに引き出せるか。それがジェラートづくりのむずかしさであり、おもしろさですね」