滞在型のスローツーリズムで見えてくる

手ざわり感のある暮らし

能登半島の中央部に位置する七尾市。穏やかな富山湾と七尾湾に面し、のどかな田園風景と変化に富んだ海岸線が魅力的なエリアです。海辺の市街地から巨大な七尾城址がある山岳まで広がる同市矢田町で、米作りをし、茅葺きの古民家で宿を営む一家がいます。

トップ手ざわり感のある暮らし滞在記 Slow-3

Slow-3

海の恵みの塩づくり

『じろざみ』に隣接するビニールハウスでの塩づくり。冬場は見学させてもらえる。

不要な廃材をもらってきて燃料にし、海水を熱し続ける。塩づくりは、水分が
蒸発しやすく、虫も入らない冬場だけの仕事だという

海水が塩になるまで
じっくりと。

たまに釜を見回り、薪をくべ、不要な成分を網で掬い取る。最終的に1トンの海水から約30kgの塩ができる

冬場、敷地内の一角からもうもうと湯気が上がっています。海水を熱して蒸発させ、塩分を結晶化させる海塩づくりです。七尾湾から汲み上げる海洋深層水を運び、チタン製の四角い釜に入れ、下から薪を焚いて沸かします。
賢太さんは熊本で竹の灯篭作りに取り組み、竹から生まれる堆肥の活用を模索する中で興味は農業へと広がり、米作りを学びました。そして、冬場の副業として塩づくりの面白さに開眼し、鹿児島の師匠の元で塩の炊き方を習得しました。
一般的な海塩の製品は直接なめると甘くまろやかに感じるのに対し、賢太さんの塩は結晶化のタイミングを工夫することで、キリッとシャープな塩味が感じられるように仕上げられます。調味料としての本来の役割をしっかり果たしてくれるので、この塩で仕込んだ味噌も梅干しもこんかいわしも、うまみが際立ち、美味しく熟成されるそうです。
「塩づくりはいい仕事ですよ。要らない廃材をエネルギーに、みんなに不可欠な塩を生み出せます。途中で出るにがりも田んぼに撒いて土の栄養にできます。なにより、好きなだけ火を燃やしていいなんて、男はみんな好きじゃないですか」と賢太さんは笑いました。

物語を紡ぐ人~スロツーびと~

「一度実家を離れていろんな経験を積んだことで、地元の魅力が見えてきた
ここでの手ざわり感のある暮らし、好きですね」

森賢太さん・未来さん・あえくん・にこくん

滞在記スポットPick Up